リノール酸もオメガ3脂肪酸もアトピーに必要だった

この記事を書いた人
Rato

中学生でアトピーが再発。
青春の10代20代の15年間はアトピーに苦しめられる。
薬による治療に限界を感じ、アトピーや健康に関する本や論文を読みあさり、1年でアトピーを治してしまった。
気づいたらアトピーのプチ専門家くらいの知識がたまり、アトピーで苦しむ方へ情報と経験を紹介している。

Ratoをフォローする

リノール酸はアトピーに悪くて、オメガ3脂肪酸はアトピーに良いうのは本当なのか?

その真相を、研究結果に基づく情報から紹介していこうと思います。

もし次のように、

  • アトピーには油が重要
  • オメガ6脂肪酸のリノール酸、アラキドン酸はアトピーに悪い
  • オメガ3脂肪酸のα−リノレン酸、EPA、DHAはアトピーに良い

という位は聞いたことがあるという方なら、より油について詳しく知っていただける内容になっていると思います。

ぜひ最後までお付き合いいただき、生活に取り入れることができそうなら、参考にしてみてくださいね。

リノール酸は炎症を起こすだけではない

料理でよく使われる大豆油、コーン油、サラダ油などの主成分となっているリノール酸は、アトピーなどのアレルギーを悪化するという報告が多数あります。

食事でとったリノール酸が代謝されてできるアラキドン酸や、食事から直接とったアラキドン酸は、酵素の反応により炎症を起こす成分になることが分かっています。

それなら、リノール酸やアラキドン酸を、食事から排除すれば良いと思うかもしれません。しかし、そう単純な話ではないんですね。

たしかに、リノール酸やアラキドン酸は、最終的にアトピーの悪化に繋がりますが、その一方でアレルギーを抑制する効果も確認されているんです。

つまり、リノール酸は、炎症を悪化させる作用と抑える作用の両方を持つんです。だから、重要なのは、取りすぎに気をつける事です。

参考文献:食用油を起点とした脂質代謝と腸内細菌叢変動を介した宿主免疫制御

オメガ3脂肪酸はアトピーに効果あり?

僕たちが食事からとれるオメガ3脂肪酸は、基本的に3種類あります。

  • α−リノレン酸
  • EPA(エイコサペンタエン酸)
  • DHA(ドコサヘキサエン酸)

このうち、α−リノレン酸は体内で代謝されてEPA、DHAになります。

なぜオメガ3脂肪酸がアトピーによいと言われるのか、その理由は、これまでの研究で3つのアトピー抑制効果があると分かったからです。

  1. 炎症を引き起こすアラキドン酸に反応する酵素のはたらきを阻害(同じ酵素がEPA、DHAにはたらくため)
  2. EPA、DHAから生産される成分がアトピーを直接的に抑制(例:肥満細胞の脱顆粒を抑制。肥満細胞からは、かゆみや炎症に関わるヒスタミンが放出されますが、ヒスタミンの放出を抑えてくれます)
  3. 腸内細菌叢へのはたらきかけによる免疫調整作用(例:免疫調整に必要な酪酸をつくる腸内細菌を増やす)

これ以上詳しい内容は、専門的になりすぎてしまうのでやめておきますが、オメガ3脂肪酸は、主に3つのアプローチでアトピー改善に役立っていることを知っていただければと思います。もし興味のある方は、参考文献を読んでみてくださいね。

オメガ3脂肪酸には、大きくわけて上記の3つのアトピー抑制効果があることを紹介しました。

しかし、アトピーの人にとって一番重要なのは、オメガ3脂肪酸をとることでアトピーが本当に良くなるのかという点ですよね。

古いデータですが、人を対象にしてEPAの効果を確かめた実験があるので紹介します。

実験①

成人のアトピーを対象にした実験です。対象者を2つのグループにわけて、片方のグループに魚油カプセル(DHA:1.2g,EPA:1.8g)、もう一方のグループにはオリーブオイルカプセルを12週間とってもらい、症状の経過を比較しました。

結果は、医者の診断では、有意な改善は見られませんでしたが、患者の体感では良くなったと感じた人が多かっということです。

実験②

アトピー患者を2つのグループに分けて、片方のグループにはコーン油(炎症に関わるリノール酸が多い)、もう一方のグループには魚油(EPA、DHAが多い)を摂取してもらいました。

結果は、どちらのグループも症状が回復しました。そして、コーン油グループと魚油グループでの差は確認されませんでした。

実験③

最後は、アトピーの妊婦を2グループに分けて、片方のグループにはオリーブオイルカプセル、もう一方のグループには魚油含有カプセル(オメガ3脂肪酸3.7g)を摂取してもらい、生まれる赤ちゃんへのアトピー発症率を調べました。

結果は、オリーブオイルグループと魚油グループとで、赤ちゃんのアトピー発症数に有意な差はありませんでした。

ただし、赤ちゃんのアトピー重症度は、魚油グループの方が症状が軽くなりました。

ちなみに、アトピーの赤ちゃんへの遺伝について知りたい方は、別記事で紹介しているので、読んでみてくださいね。(赤ちゃんの遺伝は予防できるのか?

 

この3つの実験結果から考察すると、オメガ3脂肪酸はアトピーに効果がある可能性を示したくらいになります。

個人的な感想ですが、「オメガ3がすごい!EPA、DHAがアトピーに良い!」なんて、とても声を大にして言える結果では無いように感じました。

ただし、効果が無いわけではないし、動物実験でも効果が確認されているので、オメガ3脂肪酸はアトピー改善に役立ちそうですが、メディアで言われているほどの効果はなさそうですね。

参考文献1:食用油を起点とした脂質代謝と腸内細菌叢変動を介した宿主免疫制御

参考文献2:エイコサペンタエン酸・ドコサヘキサエン酸の抗アレルギー作用について

重要なのはオメガ6とオメガ3の比率

これまでの話をまとめると、リノール酸やアラキドン酸はアトピーの悪化させますが、抑制効果もあります。

また、オメガ3脂肪酸のα−リノレン酸やEPA、DHAは、効果は大きくないけれど、アトピーにはプラスに働いてくれます。

それなら、どうすれば良いのか、分からなくなってしまいますよね。

そこで、1つの答えを紹介します。

古いデータになりますが、リノール酸とα−リノレン酸をどのくらいの比率でとると、アレルギー反応に効果がありそうかを研究した結果を紹介します。

この研究は、マウスを対象に行いました。

◯実験◯

α−リノレン酸をほとんど含まないベニバナ油と、α−リノレン酸を多く含むシソ(えごま)油を混ぜて、リノール酸とα−リノレン酸の比率を調整したエサをつくり、マウスに食べさせました。

そして、α−リノレン酸とリノール酸が代謝されてできるEPAとアラキドン酸の体内での比率を調べました。

比較基準を、リノール酸/α−リノレン酸比率が127(リノール酸がα−リノレン酸の127倍)の時としました。

ここからα−リノレン酸の比率を増やしていくと(比率の数値を小さくしていくと)、次のようになりました。

  • リノール酸/α−リノレン酸比率=2.7 ⇨アラキドン酸16%減少、EPAわずかな増加
  • リノール酸/α−リノレン酸比率=0.25 ⇨アラキドン酸60%減少、EPA著しく増加

この結果から言えることは、食事から摂取するα−リノレン酸の量をリノール酸以上の比率にする事で、アトピーなどの炎症を抑制する効果が期待しやすくなりそうです。

ポイント:α−リノレン酸≧リノール酸

ただし、α−リノレン酸をリノール酸より多く取ることは、現代の食事では難しいと言われています。

現実的な方法は、食事で使う油をエゴマ油や亜麻仁油にして、サプリでDHAやEPAをとることだと思います。

もし、EPAをサプリからとるなら、もう1つ参考になる実験があるので紹介しておきますね。

◯実験◯

これもマウスを対象にした実験です。先程は、α−リノレン酸とリノール酸の比率でしたが、今度はEPAとリノール酸の比率の評価です。

先程の実験のようにリノール酸と魚油(EPAとDHAが豊富)の比率を変えて混ぜたエサをマウスに食べさせて、体内のアラキドン酸とEPAの比率を比較しました。

結果は、リノール酸/魚油中EPA比率を6.6(リノール酸がEPAの6.6倍)にした時、先程のリノール酸/α−リノレン酸比率を1以下にした時よりも、明らかなアラキドン酸の減少とEPAの増加が確認されました。

このことから、魚油中のEPAは純粋なα−リノレン酸の約7倍の効果が期待できることになります。ただし、魚油にはDHAも含まれているので、研究者の考察によると、純粋なEPAの効果はα−リノレン酸の約5倍と言っています。

つまり、サプリを使うなら、α−リノレン酸よりも、EPAの方が5倍ほど効果を感じやすくなります。

まとめ

オメガ6に代表されるリノール酸は、炎症作用に関わりアトピーを悪化させるが、反対に抑制する効果もある。

アトピーに良いと言われるオメガ3脂肪酸のα−リノレン酸、EPA、そしてDHAは、アトピーを劇的に改善する効果まではなさそう。

リノール酸やオメガ3脂肪酸は、結局、摂取する比率が重要。リノール酸/α−リノレン酸比率なら1以下、リノール酸/EPA比率なら6.6以下で、アトピーなどの改善効果が得られやすくなりそう。

コメント